おまもりの指輪

f:id:tou_mei:20170622002517j:plain21歳の冬、旅行先の鎌倉で安い指輪を買った。日々がつらかったわたしはその指輪をおまもりにして、生きようと決めた。それからは仕事中もお風呂も、どんなときだってその指輪をずっと付け続けた。1年経って切れたときにはすぐに似たような安い指輪を買った。ふたつめの指輪になってもうすぐ3年になる。

変色してメッキもはげて、ボロボロになった指輪。それが、ついに、ほんもののシルバーで、わたしだけのサイズで、つくってもらうことになった。もう変色もしない、切れたりもしない。ずっとわたしの指に嵌っているんだ。つけるとするっと指に入ってなじむ、わたしだけの指輪。もう、なにもいらない。

これから先、わたしの指に婚約指輪がつけられることはなくても、この指輪があるんだから、ぜんぶ安心だね。